この際一掃して

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ここのところ、いろいろあってあまりエントリをする気分にならないのですが、今問題になっている構造計算書偽造問題の感想など少し・・。

いや、よくわからない事件です。はっきりしているのは、救済が必要な居住者がたくさんいるということ。本当にお気の毒です。何が分からないって、構造計算書を偽造するメリットが分からないです。私たち設計者には何の利益もない。信用を落とすデメリットのみ。そういう意味からいうと、姉歯氏が仕事を餌に強制的にさせられた、という話もそうなのかな、とも思いますが、普通の建築士なら、法令違反までしてしないでしょう。自分の設計した建築が構造的に欠陥がある、なんて、恥ですもん。

次に事業主。極力無駄な鉄筋は排除して、というのなら分かりますが、震度5でつぶれるような物を自分のお金で作ること事態、損です。他の建物が壊れていないのに、その事業主の物件だけ壊れたら、責任を問われることは間違いないですよね。だから、「法を犯してまで、鉄筋を減らせとは言っていない」というのは本当のようにも思う。

次に検査機関。検査機関が手抜きをしてスピードアップすると、検査件数を増やせてメリットがあるのでは、という考え方も、もっともらしいですけど、よっぽど悪意のある手抜きじゃないと、言うほどスピードアップも無理だと思うし、何かあると結構すぐ業務停止とか、あちこちの検査機関が処分受けてるし、そんなにメリットないのじゃないかな、と思います。

先日の、衆議員の国土交通委員会での質疑を、テレビをつけながら仕事をしていましたが、(途中からほとんどテレビ見ていましたが)、一番まともなことを言ってる様に見えたのは検査機関の社長です。それまでに報道されていたことも、検査や建築に対する理解が足らないマスコミの誤った報道である部分も分かりました。ただ、この検査機関も実は1年以上前に同じように姉歯氏の物件に注意せよ、という忠告を受けていたのに、偽造を見抜けなかったというから、やっぱり信用なりません。偽造が巧妙で分からない、という部分も確かにあるでしょうけど、構造専門でない私がみても、おかしいなと思う図面がテレビででていましたし、忠告した構造事務所社長によると、稚拙な偽造だということのようです。

でも、検査機関で、一から十まで計算をやり直して検査しない、というのは本当でしょう。そんなことをする必要がないように、国家資格をもった建築士が、設計している、というのが前提なのですから、要所要所を押えるという検査方法であるかぎり、そこ以外で巧妙に操作されていたら分からない、というのは本当かもしれません。想像ですけど、検査ポイントだけを機械的に見ていた、ということはないのでしょうか。構造技術者が総合的に図面を見て検査していたのだったら、明らかに普通より鉄筋は少ないし、梁も小さいし、おかしいと思わないはずはないと思うのですが、どうなんでしょう。

私たち設計者も、検査機関にはきちんと検査して欲しいと思うのですが、今後、計算をすべてやり直す、なんてことになると法令の時間内に検査するのには膨大な人数が必要になって、検査費用も膨大になるのでは、と心配。。。

建築基準法って、罰則規定がないのですよ。だから、巷には、違反建築があふれています。それは、たとえ構造がしっかりして安全な建物であっても、周りに迷惑をかけたり、景観に悪影響だったりするものもたくさん。そんな建物はなくなって欲しいし、この際、違反者を一掃してはどうですか。

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