大さじ一杯と1メートル

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お料理は得意ではないので、毎回レシピをみながらほとんどその通りにつくるのですが、結婚して毎日お料理をするようになると、それなりの発見があるものですね。例えば、調味料の、大さじ何杯、小さじ何杯、っていう量。どうして大さじ1杯であって1.36杯だったらだめなんだろう、などと思いつつ、書いてある通り作るのですが、やっているうちに、1杯のところを間違えて2杯にしたって、多少甘かったり、辛かったりするけど、食べれない程ではない、という、当たり前のことに気づいてきました。おかげでお料理に対する恐怖心が薄らいできましが、じゃ、大さじ1杯ってなんなの?と考えたときに、ふと思い出したことがあります

大学で、初めての製図の授業は、過去の建築物の図面をまるまる写す事でした。教授の「この建物は900モジュールで・・・」という解説を聞いたときに感じたことと同じなのです。

建物の寸法モジュールというのは、例えば、900モジュールなら、柱の間隔が900mmの倍数の、2700や3600に配置されていたり、部屋の一辺の大きさも、900の倍数でできていたりします。初心者の私は「なんで800でも1000でもなく900なの?それならいっそ867とか938とかっていう数字ならなんでだめなの?」という疑問にとりつかれついたのですが、とりあえずそういうもんだと言うことで、後々の設計演習もすすめていきました。

さすがに、今なら分かります。別にお好みなら、972にしても1032にしてもいいのです。ただ、現実には、いろんな建材が、900モジュールや910モジュールで作られて売られているし、キッチンやお風呂なんかも同様です。半端なモジュールで設計すると材料のロスが大きいし、キッチンやお風呂も特注にしないといけなくなります。使い勝手を考えた特注は必要ですが、意味の無い特注は大変不経済です。
じゃ、900とか、910っていうのは何で決まったのか?ってことですが、おそらく、人間の体の寸法にちょうど良い扉の巾とか、トイレの寸法とか、天井の高さとか、長い間の歴史の中で、多くの人がたどり着いたのが、そのモジュールなのでしょうね。だから厳密には、住宅なら、使う人にぴったりのモジュールを探すところからはじめるとその人にぴったりの寸法の建築ができるのでしょうね。だけど現実的ではありません。外国のことは詳しくないですが、やっぱりメーターモジュール(1mモジュール)が多そうですから、日本人より少し体が大きいからじゃないかな、と想像してます。ヤードの寸法体系はよくわかりませんが、また機会があったら比べてみたいと思います。

お料理の大さじ一杯もいままでの料理人たちの経験から導き出された、ちょうどいい量なんでしょうね。

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