コミュニケーションとバックグラウンド

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しばらく前のモダシンさんの記事を読んで、初めはお子さんを励ます(?)コメントを書こうかな、と思ったのですが、あれこれ思いめぐらすに、主旨が違う方向にそれて来たので、エントリーにしました。

突然ですがぺ・ヨンジュンなんですが、ちょうど先日来日したときにテレビでその報道を見ているときに子供がおならをしたので、「おまえは「へ」様だな」といったら家族中が「へ様、へ様」とまくし立てたので、さらに追い討ちをかけ、「ぺ・ヨンジュンじゃなくてへ・ショッチュウだな」といったら子供が涙目になったので、何事も引き際が肝心なんだなあ、と思ったりした。

お子さんは"涙目になった"ということですが、こんな時、地域の文化の差を感じます。もしも、モダシンさん一家が関西に住んでらして、ご家族が関西育ちなら、{ヘ様、へ様」とまくし立てられると、お子さんは涙目になるどころか、なんてオイシイあだ名がついたんだろう、と大喜びすると思うんです。
また、「へ・ショッチュウだな」と言うお父さんは、その子をいじることで、その子を、いわば主人公にして、かわいがっている、という構図になります。関西では、「いじる」っていう愛情表現があるんですね。だけど、それはあくまでも、同じ土壌で育った人の間でのみ通じる愛情表現だと思います。最近は、ダウンタウンのまっちゃん、浜ちゃんがタレントにきつい事を言ったり、たたいたりするのが、愛情表現なのだ、と理解されてきているようで、そういう一地方の文化(といえるかどうか分かりませんが)が、だんだん全国的に伝わっていくもんだな、と思いました。ダウンタウンの番組に韓国人のタレントが来て、浜ちゃんに頭をたたかれたときに、「韓国では頭をたたくというのは許されない行為だけれども、日本で活躍している韓国人タレントから、ダウンタウンが頭たたくのは、愛情表現だから、と聞いてます」と言ったのを見て、ついに韓国にも伝わるんだ、と感心しました。

学生の頃、日本中から生徒が集まっていたので、いろいろな発見がありました。サークルで、男の先輩(関西人)が、かわいがって後輩の女の子をいじるのですが、東京出身の女の子が「なんで私ばかりあんな風にいわれるの?」と泣き出したのを見ましたし、九州出身の女の子が、飲み会の席で怒ってお絞りを投げまくったのもみました。彼女達には、自分達がなぜボロクソにいわれなきゃならないのか、と先輩の行為が理解できなかったのでしょう。逆に、私は、かわいがられている彼女達から、そんな反応が返ってくる事に驚きました。

会社に勤めていた頃、新入生歓迎会があるということで、会場に向かう道すがら、後輩の女の子(主役)に何の気なしに、「主役は芸しなあかんねんでぇ」と言いました。
それは、例えば、「そのバックどこで買ったの?」「何某店です」程度の、罪の無いコミュニケーションのつもりでした。予想していた反応は ①私の発言が単なる呼びかけ程度に過ぎず、本当ではないとわかる人なら、「え~。そうなんですかぁ。じゃ、どじょうすくいでも披露しようかな」 ②ひょっとしてホントに芸をするのかも、と思った人の場合「え~。マジですかぁ。皆さん、どんなことしたんですか」と尋ねるので、「うそうそ」と軽く流して終わり の2パターン位だったのですが、彼女の反応は、私が全く予想しなかったものでした。

彼女は真顔でこう言ったのです。「それってイジメじゃないですか。」
私は驚きのあまり言葉を失いました。彼女は愛知出身だったのでした。コミュニケーションをとって、親しくなろうと、大した意味も無い軽い発言をしたつもりの私が、イジメをする嫌な先輩に見えているのだろうか?いや、ひょっとして、そういう風に切り返すのが、中京辺りのジョーク、つっこみのやりかたなんだろうか??・・・・私の頭の中にはいろんな考えがぐるぐる渦をまいて、とうとう会場までほとんど話ができませんでした。

国と国との文化の違いによる摩擦っていうのはよく言われますけど、もっと身近な、新幹線で数時間いったところの人とのコミュニケーションに際しても、どんな地域でどんなバックグラウンドで育ってきたかで、誤解が生じたりするんでしょうね。何県の人はこんな性格、と頭から典型を決め付けてしまうのは、よくないと思いますし、私はそういう決め付けは嫌いなのですが、ある程度、どんなコミュニティで過ごしてきたかを頭に入れてコミュニケーションすることが、うまく意思疎通を図るひとつの方法のように思います。もっといえば、旦那との関係も、違う家庭、バックグラウンドで育ってきたんだ、としっかり意識することがが夫婦円満には大切なのかもしれません。

相手がどんな気持ちでいるか、っていうことは、相手の発言を聞いて推測するのですが、考えてみると、発言の文字通りの意味よりも、その発言をしているということ自体から推測することが多いように思います。それは、相手のバックグラウンドをある程度理解しているから、成り立つのですよね。だから、全く違うバックグラウンドの、例えば外国人の本心はよくつかめず、とまどいます。外国人の異性に褒められたりすると、自分に好意を持っているのか、それとも、誰にでもそんな風に言うのが普通なのか、分からない。また、そういう場合にどう反応するのがいいかも分からなくて困ってしまう。

しかし、「相手の発言から相手の本心を推測する」こと自体、日本人というバックグラウンドがそうさせている、ともいえます。だから、日本では、「発言をしない」ということに対しても、意味を読み取り、相手の本心を理解する、というコミュニケーションが成り立ちます。アメリカなどでは、話さないということは、何も考えていないということで、おばかさんと思われる、と聞いたことがあります。いろんなバックグラウンドの人の集合体では、発言の内容そのものでしか、正確な判断ができないのかもしれません。

ということで、初めは、モダシンさんのお子さん、ヘ様といわれても傷つかなくていいのですよ、と言いたかったのですが、随分長いエントリーになってしまいました。

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コメント(2)

モダシンです。
とても参考になりました。トラックバックでご連絡していただいてありがとうございます。

ちなみにうちの愚息ですが、涙目になったもののいじられて喜んでおりました。「ヘ・ショッチュウ」といわれて切り返せなかったのはひとえに彼の未熟さからなので、今後もボケとツッコミに精進して欲しいものです(笑

コメントいただき、恐縮です。汗)

息子さん、落ち込まれてなくて、なによりです!
誰にでもぼけつっこみを要求する関西人はどうかと思いますが、ご家庭で楽しんで精進(?)されている様子を伺うと、やっぱりうれしいものですね。

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