今月のお茶のお稽古~げに恥ずかしきは無知の無知~

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お稽古場所である、よみうり文化センターが改修の為、先月は通常のお稽古はお休みで、2ヶ月ぶりです。今は盆略点前(一番初めの段階)のお稽古中です。すぐ忘れますが、それなりに覚えていることも増えてきました。

改修前のよみうり文化センターは、天満橋の松坂屋の一角、古いので、つくりがもう一つなのは仕方が無いことかな、とあきらめていて、今度の改修に期待していたのですが、かなりお粗末で、予算のせいなのか、以前と同じような物をつくればいいという考えしかなかったのか、ちょっと理解に苦しむところがありますが、いろいろ事情があるのでしょう。しかしながら、お茶のお稽古をしている和室について、先生のお話を聞くと、あまりのことに、聞いているこちらも恥ずかしくなってきました。

一応、改修前に、先生のところに担当の建築士がきて打合せをしたり、以前の和室を見たりしてたそうなのですが、先生が予想もしないものができていて、困ってらっしゃいました。私達は「建築士の為のお茶会勉強会」なので、一緒にいるのは皆建築士。自分達はそんなことしないと思いつつ、なんとなく肩身が狭くなりました。

いくつかあげますと、畳の縁。お茶室では墨染めの衣の意味で黒い縁で、以前のも黒かったので、先生は特に言及されなかったそうですが、緑に錦糸の入った縁になっていました。畳自体は、いわゆるスタイロ畳で、これは予算上仕方がないのでしょうが、長時間座るには硬いのです。

炉の深さが、コンクリートの床があるので十分取れない、だから炉縁が畳からとびだすけれども、仕方が無いので了承した、と先生はおっしゃる。だけど、私達から見れば、炉が収まるように和室床レベルを上げて設定しておけばいいことで、あげられない理由が他にあったのか、気付かずに設定してしまったのか。。。一番大変なのは、炉のサイズ。先生は炉を切る位置を間違えられたら大変だから間違えないように特に気をつけられてたそうで大丈夫だったのですが、予想もしなかった炉のサイズになっていて、あいた口がふさがらないご様子でした。

炉の縁には字のごとく、炉縁が置いてあるのですが、炉縁のサイズは1尺4寸と、武野紹鴎や千利休の時代に決まって以来、現在まで使われているので、まずそれをおさえることは、簡単な茶室の参考書にもいの一番に書いてあるのですね。お茶で使われる道具も、周りのしつらえも、一連の動作と関連しているので、どこかの寸法が変ると、あちこちチグハグになってまずいことは、初心者の私にでも想像がつきます。その炉縁がぴったりはまるように炉を切って、畳のサイズもぴったり合わせないといけないのですけど、できているのはかなり大きく、炉縁をおいても、四周がばっとあいている。そして、先生に向かってその建築士は「これ(炉縁)を大きくしてもらえませんか」と言ったそうなのです。先生はひっくり返りそうになったでしょう。

もちろん、私も、茶室の作り方なんて、詳しくわかりません。だけど、普通は、設計するとなったら、物の本も見るし、なにより目の前の先生に、教えてもらってしようとすると思うのです。そうしなかったのは、寸法やしつらえについて、無関心だったのでしょう。

よみうり文化センターのケースを引き合いに出して申し訳ないのですが、お茶室だから際立って分かるだけで、普通の住宅や建築でも、どう使うのかとか、あらゆるところに関心を持って考えないと、同じような、使いにくい、ちぐはぐな建築ができるのですよね。一番始末が悪いのは、ちぐはぐだ、と気付いていないことです。そういう人はいい建築は作れませんよね。人の振り見て・・・ですね。気をつけようっと。

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