街づくりと行政

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宝塚市長が逮捕されました。最近感じたこととリンクするようなニュースなので書いてみます。

私は生まれてから結婚後しばらくまでは大阪の中心より南に住んでいたので、梅田から北や、大阪より西の地域については、地名を聞いても位置もイメージもぼんやりしたものでよく分からなかったのですが、西宮に引っ越して少しずつ分かるところも出てきました。

宝塚市について持っていたイメージは「宝塚歌劇」「温泉」「宝塚ファミリーランド(昔)」くらいで、どんな街かイメージが無かったのですが、西宮に住むようになって毎日入る折り込み広告を見ていると、どうも、「上質な街」というようなイメージで売っている集合住宅が多い。旦那によると確かにそんなイメージのある場所だということ。

ところが、一週間ほど前、用があって阪急電車で宝塚市を通ったとき、窓から見えた景色にショックをうけました。マンションが乱立し、重要な景観要素、憩いの場所になりうるはずの武庫川の岸にも、切り立った川岸の上にぎりぎりまで、中高層マンション群が、まるで温泉地の旅館のように立ち並んでいます。緩やかな丘の斜面にも上にも巨大なマンション群。特に景観に配慮するような規制もないようで、思い思いの形状。「歌劇」「温泉」から想像した、劇場が街の中心で回りに風光明媚な街が続いている景色とは全く違い、もったいない、という思いで一杯でした。

これは、宝塚市の用途地域(どんな建物を建てることが可能か、を市が地域ごとに指定することになっています)の設定が、街づくり・景観の観点から見るとかなり配慮にかけていたからだと思います。景観の重要な要素のの川の周辺や、昔から大きなお屋敷のあるところは低層住宅地域にするとか、風致条例をばさっとかけるとか、ほとんど配慮されていないようです。どういう街をつくるかというビジョンを立てる時に、確かに税収等の都合で、事業者を多く入れたい場合もあるでしょうが、あまりにもそちらに偏っていたのではないでしょうか。

芦屋などでは、広範囲に第一種低層住居専用地域や風致地区に指定されていて、建物高さが10m以下とか、建蔽率(土地の中に占める建物の割合)が小さいとか、1区画の土地の面積が広いとか、緑地率とか、制限が多く、家を建てる人や、マンション開発者にとっては、邪魔に思える規制があります。邪魔に思えますが、その結果、緑の中に、程よい大きさの建物が建ち、、名実ともに上質な街の形成に役立っています。その結果、収入の良い住民が集まるようになり、税収面でもある程度効果があるのではないでしょうか。

宝塚市は、持っていた温泉施設も成り立たず、民間に渡してしまうようです。私たちが「温泉」にもとめる、癒しや風光明媚、ゆったりとした時間、というようなイメージの街になっていないので、さもありなん、という気がします。

行政ごとに、事情が違うし、仕方なかったのかもしれませんが、今日のニュースをみると、商業地域でしかパチンコ店の出店ができなかったのを、準工業地域でも出店できるように条例を改正して規制を緩和し、パチンコ店から賄賂をもらっていたとか。このニュースを見ると、果たして、真剣に街づくりについて考えてきたのか、この前見た景色とあわせると、甚だ疑問です。この市長は91年初当選とか。この15年の間に変わってきた街の様子は、この行政の方針なのです。

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