フランスの建築設計業界事情 その2

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設計料について。詳しく聞いたわけではないのですが、話をしていると、どうも日本と同じぐらいのようです。

同じぐらい、というとどのくらいかですが、日本の場合、一応、法規で設計料の算出方法が示されているのですが、そんなに貰えることはなくて、工事費の何パーセント、と契約することが多いです。住宅ぐらいの規模の場合、法規の算出方法でいくと工事費の15%くらいになるらしいのですが、私の周りで建築士事務所をやっている人はだいたい10~12%が上限じゃないでしょうか。人気建築家さんのなかには15%ぐらいに設定している人もいるようですが、少ないと思います。工事が住宅を超えてもっと大きくなると、工事費の数%ぐらいになります。

例えば工事費用5000万円(土地別)の住宅を設計した場合、設計料を工事費の10%ととすると、500万円。これを多いと思いますか?少ないと思いますか?

私たちは、住宅ですと通常、6ヶ月ほど設計にかけ、工事期間は1年くらい、その間工事監理をします。つまり1年半で500万円。経費全て込みです。しかも、いま一般紙に掲載されている住宅を建てたい人向けの記事の多くが「1千万円台で家を建てる」、「狭小住宅特集」、等、ほとんどが工事費3000万円以下、そこに設計費用も含めて欲しい、というケースです。ですから、1件しか動いていないとすると、利益だけでは、人を雇えないし、家族を養うこともできるかどうか、というレベルなのです。住宅の場合はお施主さんに合ったいい住宅を作ろうとすればするほど手間隙かかって、赤字になることも。時々、一級建築士は弁護士とかと同じようなくらい貰えるんじゃないか、と思っている人もいるようですが、全然違います。。

だけど、建売住宅屋さんの場合は、お施主さんとの打ち合わせは1ヶ月くらいで、工事は3ヶ月、なんてことが普通のようです。だから、設計料は明細に出していないかもしれませんが、1ヶ月といえども、経費はかかっているはずなので、工事の経費に含まれていると思います。でも効率よくするために、なるべく設計期間が短く、同時に何件も掛け持ち出来る状態なのだと思います。すなわち、家の仕様はほとんど決まっていて、細かいところはいつもどおり、部屋をどこに置くか、ぐらいの検討なのでしょう。

フランスでは、建築家はよっぽどの豪邸で無い限り個人住宅の設計をしないということです。というのはやはり、工事費の9%くらいが設計料で、とてもやっていけないから、ということだそうで、前回のエントリのように、住宅会社が設計して建てているということです。

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