強行採決-民主主義政治って何?

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前回のエントリで、強行採決について疑問だと書きましたが、私は政治に詳しくなくて、今までと比べてどうか、とか、いろいろなデータが知識としてなく、なかなか状況を客観的に判断できなず、漠然としか意見が持てないのが残念、と思っていたところ、ちょうど9日の毎日新聞夕刊に、強行採決のこと、投票に行くということ、について識者の意見が載ってiいて、感じていたことが、識者の言葉で明確に書いてありました。

強行採決について、政治評論家の森田実氏によると、やはり、安倍晋三政権になって1年足らずで十数本もの重要法案を強行採決し、それは今までになかった。これこそ「独裁政治」で、日本の民主主義政治が事実上崩壊したといっていい、とありました。乱暴なことをすれば、強力な指導力と称賛されると勘違いしているようだと。

やっぱり、民主主義政治としてはおかしいんですよね。森田氏によると、「民主主義政治における与党は少数派たる野党を支持する国民の意思をも尊重する義務があるはず」ということです。これなら、議会のある意味も分かります。中曽根政権以降は野党とその背後にいる国民を意識するという考えがどんどん希薄になったということです。私が選挙権を持ったころにはすでに、与党が野党を尊重する、なんて感じたことはありませんでした。

森田氏は、与党に対して、こういう状況に造反者が出ないのが情けない、軍隊かロボットだ、また、河野衆院議長の責任が大きいと、野党に対しては、マスコミも与党化しているから野党が何をしても悪く書かれるが、国民を信じてもっと戦え、と今の政治家を叱咤しています。これを読むとあるべき民主主義政治がなんとなく分かってきます。

また、福山大客員教授の田中秀征氏は、強行採決は必要な場合もあるが繰り返すことで何がやりたいかボケてしまった、と書いています。野党に対しては、いつ不信任案を出すか、という次元の低い国会戦術を考えすぎだ、もっと愚直になれ、と。

このお二人の意見を読むと、やはり今の日本の政治は民主主義政治と呼ぶにはお粗末なのでは、と思ってしまいます。野党を無視して議論を深められない与党、与党に正面から戦いを挑めない野党。

また、東大教授(日本政治思想史)の苅部直氏による「投票に行くこと」というコラムがちょうどその横に掲載されていました。苅部氏によると、投票率の高い低いが必ずしも民主政治がうまくいっているかどうかとリンクしない。政治への関心をあらわす手段は、他にもある。だけど、投票へ行く意味は、「一般人の意思に基づいて立法府を構成するという、議会制度の枠組みに対する、信任投票の性格も持っている。」とありました。そうですね、民主主義政治自体を支持するという意思表現のためにも投票に行くべきですよね。

3人の専門家の文章を読んで、ぼんやり感じていたことがかなりすっきり整理されました。それはすなわち、今の政治の問題点が具体的に見えてしまう、ということなのだけど!

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